なぜ僕はサッカーの仕事に関わっているのか

2007.3.18

スペイン出張から帰ってきました。

今回の出張中、なぜ自分は今ここにいて、こういう仕事をしていて、そして、どこに向かっているのかということが明確になった非常に有意義な出張でした。

今回、FCバルセロナサッカースクールを訪問しました。
そこでは、6歳~10歳ぐらいの子供たちが週2回練習をしています。

年間数名は、このサッカースクールからバルセロナの下部組織へ巣立っていきます。今回の視察では、単にどういった形で練習をしているのかなどを確認をするためにいったのです。

ところが、練習している子供達を見ながら、子供達が本当にうらやましくてうらやましくてしょうがなかったのです。

何がうらやましかったのかというと、FCバルセロナのサッカースクールでサッカーをすることができるという子供達の環境ではなく、その子たちは、自分さえがんばればプロサッカー選手になれる可能性があるということにです。

確かに僕も小学校4年、つまり10歳のときから大学1年までサッカーをしていましたし、それなりのチームでのプレーしていました。でも、何かを目指していたわけではなく、ただ漠然と一生懸命プレーしていただけなのです。

今、自分の人生を進めていく過程の中で、常に目標を置き、その目標から逆算をして日々の生活をしています。しかし、当時は、どうすればプロになれるのかとか、自分に何が足りないかとかは考えず、そういうものはある日突然うまいやつが誰かに呼ばれて連れていかれるものだと思っていました。つまり全く主体的ではなかったのです。

その選手の時代に、自分が無知で努力をしなかったことによる自分への後悔。その大きな後悔がもの凄く、今の自分の仕事の活力になっています。しかし、何をどれだけがんばっても、たぶんサッカー関連のことに関しては、これだけやったのだからと満足することはないでしょう。(いい意味でです。)

会社を立ち上げて2年半。まわりからはよく働くね~とか、仕事命でしょうとか言われることがしょっちゅうありますが、自分では働いている感覚は全くないのです。その理由が、過去の後悔から成り立っている自分の仕事であり、自分という人間形成に誰よりも影響を与えてくれたサッカーへの恩返しなんだと思います。

僕は、サッカーに興味を持ったことが理由でメキシコワールドカップを見て、メキシコワールドカップを見たおかげで海外、そしてスペイン語圏に興味を持ち、スペイン語圏に興味を持ったことで、スペインへ留学し、スペインへ留学したおかげで、スペインサッカーに出会い、スペイン語が話せるようになり、スペイン語が話せるようになったおかげでFCバルセロナと仕事ができるようになりました。FCバルセロナと仕事ができるようになったおかげで、会社が倒産しても独立することができ、今置かれている状況があるのです。

個人的には、たぶん世の中でプロを目指したことのあるサッカー経験者ほとんどみんなが同じような悔しさを心の中に閉じ込めながら生活しているのではないかと思います。

もしそういう方がいらっしゃってサッカー業界にかかわりたいと考えている人がいましたら、ボランティアでも何でもどんどんサッカーに関わっていかれるのがよいのではないかと思います。きっと心の底に押し込めていた過去の悔しさを思い出すと思います。でも、きっとそれが今後の人生の活力につながると思います。

また、もしサッカーで今でもまだプロになれる年齢の人だったら、まだチャンスはあります。今、この瞬間サッカーができて、プロを目指せる幸せを感じながら挑戦してください。

最後にバルセロナで僕が見つけたスペイン語のフレーズを紹介します。

Nada termina hasta que tu sientes que termina.

(あなたが終わったと思うまでは、何一つ終わることはない。)