FCバルセロナのマークイングラの回答があったのは、メールを出した翌日。 今でこそ、FCバルセロナの副会長というポジションがどれほどすごいポジションだということはわかるのですが、当時はあんまりよくわからず、とりあえず役職が上の人にメールをだせばなんとかなるだろうというような考え方でした。
イングラからの返信内容は、興味があるので、ソシオ部のトップに転送しておいた。彼からの連絡を待てとのことでした。
そしてその直後、ソシオ部のトップから、興味があるので来週中にバルセロナに来てくれと。
まじでえーーーー。という感じでした。
嬉しさ半分、やばいというのが半分。
というのも、実はその時点ではまだ前職の仕事をフルタイムでやっていて、いきなり来週から休暇をとってバルセロナへいきます。というのも、社内的には難しいし・・・。
そして、実は事業計画書を作成して、メールを送ったくせに自分としては、ソシオ受付代理店というサービスをやりきる自信と会社を設立してやっていくという自信がありませんでした。
とはいっても、人生で最大のチャンス。
人にはチャンスが平等に訪れ、それをチャンスだと感じられるかどうかがまず最初の分かれ道で、それをつかむか見逃してしまうかが2つめの分かれ道だということを何かで読んだことがあったので、絶対やってやるという気持ちでした。
これは本当に悩みました。悩む時間なんてほとんどなかったのですが、それでもバルセロナに来てくれといわれてからは、一日中今後の人生のシミュレーションとかしてました。笑
そして、チャンスを掴む上で最初の障害は有給をとることでした。というのも、FCバルセロナとの契約の話をするので有給くださいとはもちろんいえなかったのです。
ただ、直属の上司は、すでに独立の話を知っていたので、上司に相談し、あとは部長だけ。
完全に嘘をついて、アメリカとかに行くって言おうかなとも思ったのですが、どうせばれるだろうと考えて、正直に話しました。結構ひやひやしたのですが、部長自身も自分の身の振り方を考えていたようですんなりOK。しかも応援までしてくれそうな勢いでした。笑
そして無事バルセロナに行くことができたのですが、バルセロナのソシオ部の担当者は、パシというフィンランド人。口数が少なくお役所的な雰囲気がする方でした。
ミーティングに入ると、バルセロナ側としては、もうソシオの受付を日本で行うということは決定していたらしく、条件も含めたすべての内容が書面に落とし込まれていました。
見てみると、サービス開始日が、なんと10日後。
って、無理っす。
なんでも8月には日本でプレシーズンマッチを行う予定で、それまでにソシオを集めて、彼らがソシオとしてプレシーズンマッチを見られるようにしてあげたいと。
さらに、バルセロナとしては、個人と契約できないが、必ず法人にするという条件で契約しますと。
この時点で、副業でのビジネスを考えていた僕の目論見はいきなりくずれるのですが、法人にするということをその場で悩んでしまうと契約できないので、即答。
僕としては、あのバルセロナが規則を曲げてまで契約をしてくれたということが、契約できたことそのものより嬉しかったのです。
正直、バルセロナ側からだされた条件は、相当厳しい条件で、2週間のテスト期間中にマーケットの見込みがないと判断したらその時点で契約は延長しないという内容でしたし、ロゴの使用などについても相当厳しい縛りがありました。
とはいうものの契約できたことも事実で、ほんと何でもやってみないとわからんなあと思いますね。
無理かどうかなんてトライしないとわからない。トライしてだめなら、リセットしてやり直せばいいだけ。
今、やっている仕事でもこれはちょっと無理かなあ・・・
ということはしょっちゅうあります。
でも、やってみると意外にすんなりいったり、簡単だと思ったことがてこでも動かなかったり。
言えることは、
とにかくやってみる、ですね。
簡単そうで実は難しい。
チャレンジするってこと。
ということで、10日は無理だけどもなんとか3週間後ならOKです。
と返答し、というか返答させられ、そこから地獄の3週間が続きました。
朝8時半におき、通常出勤。19時半に家に帰り、そこからソシオ受付オフィスの立ち上げ作業。さらに同時に個人事業主の手続き開始。
バルセロナの出張から、ジャパンツアーが終わり、バルサが帰国するまでの1ヶ月半、睡眠時間は平均4時間ぐらい、それ以外の時間は“すべて”仕事という状態でした。
その間毎日、東京にいる私と、関西でHPを作っているI氏とでチャット会議。
スペイン以外ではじめてソシオを募集するということでバルセロナの方から、細かなチェックが入るし、僕自身が一人で
ビジネスを立ち上げた経験がないために段取りが悪く、時間ばかりがかかってしまいほんまに間に合うんかなあ・・・と
いう感じでした。
とはいうものの、意外にこういうのって間に合ってしまうんですよね。
テスト勉強と同じで、やばい!と思ってもぎりぎりで間に合う。笑
2004年6月21日、とうとう日本で初のバルセロナソシオ募集を開始することになりました。
先着200名は、なんとジャパンツアーで来日するバルセロナの練習をただで見られるというものでした。
入会受付開始時間は、深夜0:00。
正直、どれぐらいの人が会員になってくれるかはまったくわからず、もし30人ぐらいしかはいらなければ、もうそれで
たぶんバルセロナとの仕事も終わってしまうことは火を見るより明らかでした。
そして、いよいよ深夜0:00。
最初の入会者は、0:02分でした。
実は、入力する項目がとてつもなく多く、まともに個人情報を入れるだけでも5分ぐらいはかかるかなと思っていたのでびっくりでした。
それからはクリックするたび、どんどんメールが入り、募集開始から1時間で、なんと300名ほどがソシオ会員の応募をしてきたのです。
ほんとめちゃめちゃうれしかったです。
何が嬉しいって、単なる1ファンサイトで、しかも会社としてやっているわけではなく、個人が運営しているサイトを信じて応募してくれたこと、自分を信じてくれたバルサのスタッフを裏切らなくてすんだこと、さらに、自分で企画をたて、世の中に発信したことが世の中に受け入れられたこと。
この日から2週間で、結局500名強のソシオ会員が集まりました。
そして、2004年7月になり、僕のダブルワークが佳境を迎えることになるのです・・・。