移籍金ゼロが招くJリーグの将来

2011.1.6

欧州でプレーする日本人選手がずいぶん増えましたね。

この状況は日本サッカーにとってよいのか、悪いのか皆さんはどのように考えられますか?

僕は、日本サッカーにとってよい話だとは思うので基本的には賛成ですが、条件付きでの賛成です。

では、具体的にどういったメリット、デメリットがあるか見てみましょう。

欧州でプレーする選手が増えることによって、日本代表チームレベルの向上が見込まれるのではないかと思います。

一方、有名選手の海外流出によるJリーグ人気の低下に繋がる可能性があります。

私見ですが、Jクラブからの選手流出という側面もありますが、その分、レギュラー選手が抜けた穴を他の選手が埋めることにより、日本サッカーレベルの底上げがはかれるのではないかと思います。

極端な例を出しますが、欧州の一部でプレーする選手が100人に達したとします。そうするとその100人分の枠があくわけで、J1というトップレベルでプレーできる選手が増えるわけです。レギュラー選手の流出により、新たにチャンスを与えられた選手は、プレーし続けることにより、レベルアップのチャンスが増えます。

ただ、問題点は、他の選手が穴を埋めたとしても、その選手が育つまでには、やはりクラブとしては、スター選手不在による人気面の穴と戦力面での穴は簡単には埋められないわけで、一時的に客数の低下と戦力の低下は否めないと思います。

では、一時的な客数の低下と戦力の低下を避けるにはどうすればよいか。

それは、外国人で、ある程度ネームバリューのある選手を獲得することです。(欧州トップクラスではないが、そこそこネームバリューのある選手で、日本でプレーしてもいいという選手は意外と沢山います。)

いやいや、今のJクラブの経営状況だと、そんな選手は買えないよと言うかもしれません。

しかし、チームの看板選手が欧州に移籍する際にしっかりと移籍金をとっていれば、そのお金を他の選手獲得にまわせるわけで、今のようにフリートランスファーでどんどん選手が出ていく状況はJの将来を考えても由々しき事態だと思います。

もちろん、欧州で挑戦したいという選手の気持ちは十分すぎるほどわかります。ただ、すでに何人もの選手が欧州でそれなりの活躍をし、日本人選手の価値があがってきている状況では、Jクラブは、もっともっと強気に交渉してもよいと思いますし、今後、欧州で活躍する可能性が高い選手には、契約内容もきっちりと吟味し、欧州に挑戦する際には、チームにお金を残してもらう形をスキームにしていかないと、このままではJリーグの人気が下降していくことになると思います。

欧州では、10年ほど前までは、日本人選手はあたればラッキーというような感じで、かなりリスクのある投資という認識でしたが、現在では、化ける可能性のある超低位株だというような認識にかわってきています。

つまり、欧州クラブにとって心理的リスクが軽減しているのですから、多少費用が発生しても、今の欧州クラブ(スペイン、イングランドではまだまだ難しいですが)なら日本人選手に対してでもお金を払うでしょう。

日本は、ブラジルなどと同様、選手を育てて売るというようなビジネススキームを構築できるのではないかと思います。