U-17日本代表対U-17スウェーデン代表雑感

2013.10.29

仕事で見られなかったり、寝落ちしたりで、ずっとU-17日本代表の試合をフルマッチで
見られなかったのですが、昨日、はじめてフルマッチ観戦しました。

今回、吉武監督がチャレンジしているチームコンセプト、戦い方は非常に興味深く面白かったです。

世界大会でこのような戦い方をしたということ、また3勝をあげたという事実は、今後、日本
サッカーが目指すべきスタイルの一つの可能性の提案という意味においても非常に意味があったと思います。

ただ、その中でもあとここが改善できればもっといいチームになりそうだという部分がいくつかあったので、記載してみます。

実は、以前サッカーサービスのコーチ陣と一緒に川崎フロンターレU18でクリニックをした
議題で、「自陣ゴール前で引いている相手の崩し方と、カウンターへの備え」というテーマが
ありました。(今回、代表に入っている三好君も参加していました)

その中でサッカーサービスが提案していた相手が自陣に引いている場合の崩し方の5原則が以下です。どれができればというよりは、すべて組み合わせる必要があります。

① 右サイド・左サイド(片方サイドへ寄せてからの逆サイドへ展開)

② 中にあて、食いつかせてからのサイドへの展開し、突破

③ 前へあてて、下げることにより、ディフェンスの2ライン間の幅をあけ、ディフェンスライン間のギャップをつく。

④ ショート・ショート・ロング
①と少しかぶる部分もありますが、同サイドで短いパスをいくつかつないだあとの逆サイドへの早くて長いパス

⑤ リズムの変化
ゆったりとしたパスまわしから、突然ダイレクトでのショートパスの連続など

上記5原則の中で特に96ジャパンが取り入れていたのが②、③でした。

中にいる選手(ゼロトップの選手が多かったですが)に当てると、相手ディフェンスが食いつきます。それにより、相手ディフェンスの視野が一旦中央にいる当てられた選手に移動し、またポジションも少し中へ移動するため、その後後ろへ戻してから素早くサイドのフリーの選手への展開してという場面が多々ありました。

しかしながら、サイドで余裕のある状態で1対1の状況が生まれても突破をしかけることが全くなかったことと、スウェーデンのサイドバックをコントロールオリエンタードでかわせる位置(つまりラインに並ぶぐらい)までポジションをあげることができなかったため、ファーストタッチは常にマイナスへという状況が生まれていた。(サイドへ出すパスにスピードがないこともポジションニングを前に取れない原因ではあると思いますが。)

今回、吉武監督はポゼッション重視でトップ下タイプの選手を多く起用されていたようですが、両サイドの選手に関していえば、スピードがあり、1対1のドリブルで勝負できるアタッカータイプの選手がいたほうがスウェーデンのようなチームは崩しやすかったかなあと思います。

またもう一つ気になったのは、左サイドバックの会津選手ですが、素晴らしい選手ですが、左に抜けて突破することがなく、必ず右に持ちかえるため、その後クロスをあげてもスウェーデンの選手からすれば前を向いてのプレーが可能であるため、脅威にはならなかったかなあと思います。

その他全体的には、パススピードの遅さとリズムの変化、またシュートの少なさはちょっと気になりました。やはり、1対1の突破やロングシュートなど相手ディフェンスのバランスを崩す
ためのプレーがなかったのはもったいなかったです。ディフェンス面では、ボールウオッチャーになってしまう場面が多々あったこと、また2点目の失点シーンでは、シュートを打たれる前の攻防で体をいれられていたにも関わらずシュートを打たれた瞬間にスピードを落としてしまったのはもったいなかったなあと思います。

しかしながら、チーム全体として、サポートへ入る位置、入る高さ、ボールを受ける前の認知(特に16番の選手)、正しい体の向きができていることによる視野の確保の仕方等は普段のトレーニングから相当意識してやっているんだなあと感じました。

いろいろ勝手なことを書いてますが、素晴らしく質の高い選手が多く、今後の選手たちの成長が非常に楽しみです。可能性のあるサッカーを見られてよかったです。