コンセプトはバルサ

2009.11.12

先週、高校サッカー奈良県大会の決勝にいってきました。
今年の決勝は、奈良育英 対 一条でした。

今夏のインターハイでは奈良での開催だったため、育英、一条ともに本大会に出場し、育英はベスト16、一条はベスト8と地元開催といえども非常に好成績をおさめていました。

育英は、フィジカルが強く、直線的なサッカーをしており、一条は、高い技術をベースにしたポゼッションサッカーを志向しています。(実は僕が高校生だった頃から、この2チームのコンセプトは変わってません。)

今回の一条の3年生は、僕がスペイン遠征をアレンジしたときにはまだ2年になる直前の春休みだったため、まだまだレギュラーをとれていなかった選手も多く、ポゼッションサッカーを志向していたものの、まだまだ落ち着いてパス回しができるような状況ではありませんでした。

今年に入ってまだ一度もAチームの試合を見ていなかったので、過去の戦績からみて、おそらく1点を争う接戦になるだろうと予想していました。

ところが蓋をあけてびっくり。
 
 
一条が志向しているサッカーは、バルサのそれと同じ方向性であり、ディフェンスラインを高くあげ、ビルドアップの際は、キーパーもつなぎに参加し、サイドに素早く散らしていました。

通常、高校生レベルだとディフェンスラインが高い場合によくある失点の原因としては、ディフェンスラインでの横パスをかっさらわれて、点を奪われるといったことがよくあります。

一条はそこのリスクを避けるために、ディフェンスラインでパスまわしをする際、前が詰まった場合、横パスを選択するのですが、少しでもリスクがありそうな場合は、一気にキーパーまでボールを下げ、そこから素早くサイドに開いたうえで、もう一度ビルドアップをはかっていました。

また、戦術の中で特徴的だったのは、ボールを奪われてからの囲い込み、ダイレクトパス、カウンター時の追い越し。

どれもバルサの試合の中でよく見られるプレーでした。

もちろんバルサのようにできるわけではありませんが、ビルドアップの際の落ち着き、無理をせずに確率の高いプレーを選択する意識、チャンスと見たときのダイレクトでのパス回し、後ろからの追い越しなどは、スペインのフベニルの世代のチームと比べてもかなり上のレベルに達しているのではないかと思いました。

圧巻だったのは、2点目だったか忘れましたが、左サイドのハーフラインの少し前から、2人の関係で組み立て、そこから大きく右サイドへふり、右サイドの選手がトラップをする前にすでにサイドバックが追い越しをかけて、完全に右サイドをくずし、その間に左サイドの選手が2人、中に入り、ドフリーでヘディングシュートを決めたプレーです。動画がないのは残念ですが、高校レベルでああいった感じでサイドに振られて、折り返されればどうしようもないでしょう。

観客席からも、「バルサみたいやな~」という声が聞こえてきていました。
 
育英も一条のサッカーを知っているので、浅いディフェンスラインを再三狙っていたのですが、横パスを通してから2列目が裏を狙うのではなく、一本の縦パスで裏を狙っていたためことごとくオフサイドにかかっていました。

今年のチームだと10回やったら9回は一条が勝つかなぁという感じですが、これまでの両校の関係から考えるとここまでの差がつくのは本当になかったことです。簡単な例でいうと、日本代表が5-0で韓国に勝つ感じといったらわかっていただけるでしょうかね。

今回は、5-0での一条の勝利ということになりましたが、奈良県のサッカーのレベルをあげるためには、1チームだけが強ければいいというわけではなく、強豪数チームで切磋琢磨するのが強化し、高いレベルでのガチンコ対決をこなしていくことにつきます。

OBとしては、一条が勝ってくれてうれしいですが、来年はお互いにもう一段高いレベルでの決勝戦が見られればいいなと思います。 
 
最後に、全国高校サッカー選手権での一条はダークホースになりえる存在だと思います。ベスト4とは言わず、優勝を目指して欲しいと思います。