少し前の話になりますが、6月19日から27日までU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017の街クラブ選抜のスペイン遠征に同行しました。その遠征で感じたことを書きたいと思います。世界とは差があったとか、世界は強かったとかではなく、感想です。
今回の遠征で向かった先は、バルセロナから1時間半ほどの地中海沿いの街、ジョレット・デル・マル。完全なリゾート地ですが、我々は遊びにきたわけではありません。地中海を目の前にしてもトレーニングです。笑
朝から海岸での鬼トレ。
今回の目的は、「1週間で世界と戦えるチームのベースを作ることです。」
4月に東京、大阪、熊本で合計200人の中から選ばれた23名の街クラブ選抜の選手たち。8月の本大会では、FCバルセロナ、清水エスパルスU-12、サガン鳥栖U-12と対戦するのです。無様な戦いをするわけにはいきません。我々スタッフは気合入りまくりでしたが、監督はもっともっと激熱でした。その監督とは、カタルーニャサッカー協会にお願いして招聘したジョルディコーチ。カタルーニャの強豪マンレサで指揮を執るコーチです。このスペインの大会だけではなく、本大会でも直接指揮することになっています。たった1週間の準備だと何もできないと手を抜くタイプのコーチでないといいなと思っていましたが、完全に杞憂に終わりました。
参加する大会はコスタ・ジローナカップという大会で、バルセロナ近郊の街なのにビジャレアルが主催という大会です。スペインでは5月の末ぐらいまでリーグを行いますが、その後6月の1か月間はほぼほぼ大会が続きます。その中でも大会にはさまざまなランクがあり、この大会はレベル的には中の上レベルの大会で、参加チームの中にはオリンピック・マルセイユ、ベティス、ビジャレアルという強豪がいるものの、その他のチームは若干レベルはおちるかなという感じです。
6月という時期は日本でいう3月と同じ時期で、次のシーズン、つまり7月1日以降が翌シーズンという形になります。つまり、7月1日からは中一の学年がはじまるのです。そのため6年生最後の時期なので7人制で大会が行われるのです。ワールドチャレンジ本大会は11人制ですが、ジローナカップでは7人制のため、AとBの2チームで出場です。
大会の前にできた準備は1回のトレーニングと1回の練習試合のみでした。あとは戦いながらチームを修正していきます。
≪予選リーグ≫
街クラブ選抜Aチーム
〇 4-1 SEL.ASENJO
〇 7-0 WORRIOS B
△ 2-2 FCRACING BLANENC
Aチームは1位での予選突破となりました。
街クラブ選抜Bチーム
✖ 2-3 CD RODA
〇 4-1 SEL.BRUNO
✖ 0-2 REAL BETIS
Bチームは1勝2敗で3位での突破となりました。
みなさんはスペイン人監督といえばどんな監督を想像しますか?
戦術的に整理して、理路整然と指示をしていく監督でしょうか?
それとも強い気持ちで戦うことを強く要求する監督でしょうか?
結論的には僕が見てきたスペイン人監督のほぼ全員がどちらも同じぐらい持ち合わせている監督です。
今回の場合は、本大会で戦うための大切な準備が1週間しかない。そのため一般的なチームビルティングとは異なるとは思いますが、ジョルディ監督がとった方法は、大きな枠で自分がやりたいサッカーを伝えつつ、試合ででたエラーを一つ一つ映像分析を使い修正していくことでした。本大会でバルサと試合をするときに戦えるチームを作るという設定のため、ディフェンス面での修正を多めにしつつ、戦うことを強く要求していました。
日本サッカーのトレーニングですごく不思議で、多く見受けられるのは、週末ででた試合のエラーを修正することなしに、週明けまたいつも通りのトレーニングを行うことです。今のトレーニングでエラーがおこっているのであれば、これまでと同じことをしていたらまたエラーは繰り返されるに決まってるんですけどね。。
話がそれました。
このようなスペイン人指導者に2日間指導されただけで大会に出た日本人選手たちは、初日こそまだまだ遠慮がちではあるものの次第にがんがん戦うようになってきます。
決勝トーナメント 1回戦
街クラブ選抜 A
◯3-0 対 SEL. BAKAMBU
街クラブ選抜 B
◯2-1 対 SEL. LANZAROTE
準々決勝
街クラブ選抜A 2-1 街クラブ選抜B
なんと準々決勝では街クラブ選抜同志の対戦となりました。この試合では日本人同士の試合とは思えないレベルの激しいぶつかり合いの試合でした。ここまで短期間で戦えるようになるんだと、子供たちの成長にびっくりするとともにいろいろ気づくこともでてきました。
準決勝
街クラブ選抜 A 0-1 対 オリンピック・マルセイユ(仏)
戦えるようになった選手たち。マルセイユとの一戦は激しいぶつかり合い、さらに両チームの運動量も多く見ごたえのある一戦でした。試合結果こそ0-1でしたが、実際感じた差はどこだったか。
マルセイユの選手は激しいぶつかり合いの中でも自分たちが志向するサッカー、そして普段の戦いと何ら変わりない戦いを展開。日本の選手は激いサッカーになればなるほど、思考スピードが鈍り、普段できていることが全然できなくなってきたのです。焦ってプレーをするというのとも違い、ただ、戦うことに意識のほとんどがむいてしまったのです。1週間という時間の中で、相手のレベルが同等もしくはそれ以下の場合はジョルディ監督の修正事項を意識しつつ、戦いながらもよいサッカーを展開できていました。相手のレベルが自分たちより上になった途端、戦うことに意識がいくと、それ以外ができなくなった。選手たちは非常に成長しましたが、この部分の修正が夏への宿題です。
最後に嬉しいニュース、街クラブ選抜の大西貫太郎君が大会MVPに選ばれました!貫太郎おめでとー!本大会ではバルサ相手にキレッキレのプレーを期待しています!
街クラブ選抜は、8月22日に再度集まり本大会前のプレ大会を戦います。そして23日の記者会見を経て、24日が本番。
自分たちより上のチームに対し、戦いながらも頭をクールにジョルディ監督のサッカーができるか。ワールドチャレンジ本番が本当に楽しみです。