バルサから学んだ仕事の仕方・責任者と担当者

2017.9.11

前回、社員が主体的に動きだす仕掛けとして弊社の仕事の仕方の概念を紹介しましたが、今回はもう少し詳しく実際の実務において、バルサから学んだ仕事の仕方を紹介したいと思います。

弊社は2004年にバルサとはじめて契約を結んでから、以下のように13年間パートナーとして一緒に仕事をしています。

 

2004年~2010年:ソシオの日本での受付代理店

2006年~2014年:バルサの公式オンラインショップ

2007年~: バルサキャンプ

2009年~:バルサスクール福岡、葛飾

2011年~2014 :久保建英選手のバルサ入団等のサポート

2013年~:U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでのカンテラ招聘

 

バルサと仕事をしていていつも感じるのは、彼らの仕事の仕方は彼らのフットボールの仕方そのものだということです。

 

まず、最初にバルサのフットボールの仕方を説明すると、各々のゾーン、および選手に物凄く細かいタスクがあります。そしてそのタスクさえ守られているのであれば、他は自由にやってよしというスタイルです。攻撃時、守備時に選手がポジションニングしていなければならないゾーンに選手がいれば、中で選手が入れ替わろうが構わず、しっかりとチームとして取るべきポジションが守られていればOKなのです。つまり、タスクを明確にし、そのタスクをこなす責任者が通常はいるのですが、自分たちの判断でそのタスクを受け持つ人間が変わってもよいという考え方です。

 

では、実際、バルサの人間はどういった仕事の仕方をするのか。バルサのスタッフは、どんなに細かなことであっても、タスクを明確にし、その責任者が誰かということを明確にします。例えば、うちのバルサスクールでしばしば起こっていた、誰がビブスを洗うか問題。最初はどうやっていたかというと誰の仕事かを決めずに、手が空いた人がビブスを洗うという形で行っていました。どういう問題が起こるかというと、全員が忙しくてビブスを洗いにいけないとか、もしくは仕事に集中して忘れてしまっているとことが起こります。そこでビブスを洗うというタスクをバルサコーチが改善した方法は、“ビブスを洗う責任者を決める”ということです。その責任者は自分の仕事が忙しかったりする場合は、自分の責任の元で誰か別の人に振っても構わず、また誰かに振ったけど、その仕事が完遂されないと、責任者のマネジメントエラーという形になります。

 

こういった方法でありとあらゆるものに責任者が決められ、都度、Quién es responsable?(誰が責任者なの?)という質問が飛びます。例えば、バルサスクールのある新入社員のタスクは以下です。

 

・キットコントロール責任者(東京オフィスと福岡)

・その他マテリアルコントロール責任者(ゴール、オフィスなど)

・親善試合と大会の選手招集(メールと電話)

・キッズクラスの責任者(子供のアテンド、保護者対応、セッション)

・トレーニング、ミーティング、イベント、試合のためのグラウンド準備の責任者

 

当然、自分が動けずタスクがこなせない場合は、自分の責任において他の人に振るということは許されます。また、責任者という文字がやたらとでてきますが、スペイン人の中には担当者という発想はあまりなく、というか担当者は誰だなんていう質問はされたことがなく、ほとんどの場合責任者は誰だと質問します。(もしくはコンタクトパーソンは誰というのはありますが)

 

こういった方法をとると、責任の所在が明確になるため、仕事の漏れが防げます。大企業の場合は個々人がやる仕事の範囲が狭いためこういった問題はあまり起きないと思いますが、小さな企業で一人が複数の仕事を抱える場合は非常に有効な方法だと思います。また、ここで大切なのは誰が何をやる責任者かということを明確に設定することです。(正直、うちの会社でもまだそこができてない部分があり、気がついたら誰もやってない!なんてこともよくありますが・・・)

 

日本だと例えば担当者がたくさんいて、責任者と明確にしなくても、日本人は責任感は強いのである程度責任をもってやります。一方でスペイン人は君が責任者だといわれない限りは手を抜くんで、責任の所在を明確にするのかもしれません。でも、実際日本のこの担当者という方法は結果的に多くの無責任な状態を生み出しているのではないかと僕は考えています。